本記事ではアドテクノロジーについてわかりやすく説明をしていきます。どんどんと複雑化しているアドテク界隈ですが、まずはその基本用語と概要を抑えておけばなんとなくはどんなサービスやツールなのかは把握できると思います。
なるべくわかりやすく説明できるよう図も入れながら解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
対象となる読者
- WEB広告に興味がある方
- DMP等の導入を検討されている方
Contents
- アドネットワーク
- アドエクスチェンジ
- オーディエンスデータ / オーディエンスターゲティング
- DSP(Demand Side Platform) / SSP(Supply Side Platform)
- 3PAS(3rd Party Ad Serving)
- アドベリフィケーション
- DMP(Data Management Platform)
- アドテク界隈のプレイヤー例
1. アドネットワーク
Webサイト、SNSなどの複数のインターネット広告媒体を集めて広告ネットワークを形成し、ネットワーク内の媒体に一括して配信をするシステムです。アドネットワーク登場以前、広告主は各メディアに対して広告の掲載依頼を出さなければならず、非常に手間がかかりました。しかしアドネットワークの登場によって広告主は一括で広告配信をすることが可能となりました。
また、CPM課金型(1,000インプレッションごとの)やCPC課金型(クリック単位での課金)などの広告枠の購入方法が普及したこともアドネットワーク導入推進の一因です。
2. アドエクスチェンジ
アドネットワークの登場後に、アドエクスチェンジという広告取引市場が登場しました。アドネットワークではそれぞれのネットワークで課金形式が異なっていましたが、アドエクスチェンジによってCPM課金型に統一されたことが、広告主にとっては便利になりました。
アドエクスチェンジでは入札方式にRTB(Real Time Bidding)という方式を採用しており、インプレッションが発生するたびに入札が行われ、(厳密には違いますが)一番高い値段をつけた購入者の広告枠に配信されます。
3. オーディエンスデータ / オーディエンスターゲティングデータ
オーディエンスデータは、Cookieを元に個人が特定されない形でどういった属性を持つユーザかを推測したものです。データエクスチェンジャーという事業者がオーディエンスデータを提供しているポータルサイトからデータを購入し、セグメンテーションを行なったものをアドエクスチェンジャーなどの広告配信サイドに販売します。これによって広告配信サイドは人にフォーカスしたターゲティングが可能となりました。
ただし記載した通りCookieを元にセグメンテーションを行なっているので、今後のCookie規制の動向には注意する必要があるでしょう。
4. DSP(Demand Side Platform) / SSP(Supply Side Platform)
DSPはアドネットワークやアドエクスチェンジなどを一元管理し、半自動的に最適な広告配信を行ってくれるツールです。Demand Sideとあるように広告出稿側(広告主)のためのシステムです。DSPでは広告の買い付けや配信、分析など広告最適化には欠かせないツールとなっています。
その一方SSPはSupply Sideとあるようにメディア側のプラットフォームです。メディア側は自社の広告枠をできる限り高収益で運用したいと考えます。SSPはDSPと連携しその手助けをするものです。
ではここでDSPとSSPによる広告配信の流れを見てみましょう。
1. ユーザーがwebサイトを訪問し, webページが表示されると, SSPが広告リクエストを受ける。
2. DSPにビッディングをリクエストして, 各DSPでオークションをしてクリエイティブを1つ決定。
3. 各DSPの候補クリエイティブを競わせて最終的に一番高額なクリエイティブをSSPに伝える。(ただしここまでの処理が0.1秒程度で行われるのでDSPのレスポンスの速さも関わってくる)
各ブロックを勝ち抜いた広告が広告掲載の1枠を狙って熾烈な戦いを繰り広げるイメージでしょうか。
5. 3PAS(3rd Party Ad Serving)
様々な広告やSEOなどのマーケティング施策を横断的に管理・効果測定するアドサーバーのことです。広告主はDSPを用いた広告意外にも様々な広告(純広告、リスティング広告など)を出稿している場合があります。これらをまとめて管理したい場合に役立つのが3PASです。ただし3PASはDSPやアドエクスチェンジと異なり広告枠の買い付けや配信機能はありません。あくまでもDSPや各種広告との連携で管理・効果測定を可能とするものです。(下の図では3PASから配信しているように見えますが、3PASを介しているだけです)
3PASの導入によってコンバージョンに対して複数の要因が関わっていることが把握できるようになります。そして各施策の評価にはアトリビューション分析という手法が用いられることがあります。この分析手法については後日別記事でご紹介できればと思っております。
6. アドベリフィケーション
アドベリフィケーションは大きく分けて「広告主のブランド価値を守る」、「見られる場所に広告を表示する」という二つの役割を持ちます。
「ブランド価値を守る」とは、アダルトサイトや暴力的なサイトなど、広告主にとっては配信されるとあまり嬉しくない場所への配信を防ぐということです。
「見られる場所への表示」は、ページを一番下までスクロールしないと広告が出てこないような場所への配信は避けるような仕組みです。
従ってアドベリフィケーションを用いることで、
- ブラックリスト, グレーリスト, ホワイトリストの作成
- インビュー(ユーザが実際に目にする位置に広告が表示されたimp)の計測
が可能となります。
7. DMP(Data Management Platform)
DMPは、「自社データ」と「外部データ」を統合・分析・管理できるプラットフォームです。DMPではオンライン上の様々なデータ(いわゆるビッグデータ)と自社が保有する顧客データなどをまとめて蓄積できるため、マーケティング施策への活用が期待できます。
尚、DMPにはオープンDMPとプライベートDMPが存在しオープンDMPでは外部データが、プライベートDMPではそれに加えて企業独自で保有するデータが、集約されています。
8. アドテク界隈のプレイヤー例
あくまでも一例にはなりますが、各領域のプレイヤーをまとめました。事業パートナー選びや業界リサーチの参考になれば幸いです。
まとめ
ここまでアドテク界隈の様々なツールやシステムなどを紹介してきました。正直かなり複雑でなかなか全てを理解するのは難しいと思います。
まずはこのブログでざっくりと把握していただき、そこからは自社がどういった課題を解決したいのか、掛けられる予算はどれくらいか、など様々な要因を考慮し、適切なパートナーやツールを見つけていくことが重要でしょう。
参考文献
広瀬信輔. アドテクノロジーの教科書. 翔泳社, 2016.